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<東京都>20年以上「臨時職員」 2カ月ごとに契約更新
毎日新聞 9月29日 2時34分配信
東京都の施設で臨時職員として司書をしてきた女性(66)が、契約更新を繰り返して結局、20年以上も勤めていたことが分かった。臨時職員は、交通費や諸手当の支給がなく、地方公務員の医療保険にも加入できない。都は「20年も臨時で働いた人がいたかは確認できないが、いたとしても法的な問題はない」としているが、法律家からは「労働者の権利を守る多くの法を無視した行為だ」と批判の声が上がっている。

女性は都立施設内の図書室に司書として勤務。専門書や自治体の統計書などを管理し、職員への貸し出しや資料整理などの仕事を一手に引き受けていたという。しかし、臨時職員に関する都の要綱は「1回2カ月の勤務で、やむをえず更新する場合も連続雇用期間が6カ月を超えることができない」などとしている。このため、女性は2カ月に1回契約を更新。近年は、5カ月働いて1カ月休むという勤務形態を続けていたという。

女性は「長年、2カ月ごとに契約を交わすことに疑問を感じていたが、やりがいもあったし、仕事を失いたくないので続けていた」と話している。

都には約600人の臨時職員を雇用している局もあり、同様の状態にある「臨時職員」は他にもいる可能性がある。

労働問題に詳しい弁護士は「臨時とは言えない継続的な仕事を任せながら、20年も社会保険のない不安定な雇用状態を続けるのは極めて問題だ」と指摘している。【田村彰子】











株主資本主義の誤算 短期の利益追求が会社を衰退させる
現代における企業は、他のどんなセクターよりも強大な、世界の主要プレーヤーになった。家業としての創業が専らだった19世紀後半はもちろん、専門経営者による経営体制への移行が進んだ第2次世界大戦前後でも考えられなかったことだ。金儲けだけが第1の価値となった現在、企業経営者は自らの私益のために株主優遇を前面に掲げ、ついに他の利害関係者を搾取するに至った。
しかも、ストックオプション(自社株購入権)の登場は株主の長期的利益と相反する効果までもたらした。かくて経営コンサルタントでもある著者は警鐘を鳴らす。「この新しい企業倫理は、確かに株価をつり上げ、多くの投資家をより金持ちにした。だが一方で、短期的な経営手法と相まって、多くの人々の生活を破綻させた。(中略)さらに多くの人は、自動化とグローバル化が高度に進んだ環境が、利益のためには手段を選ばないことを知った。これほど人間生活と秩序を破壊するものが、正しいわけがあるだろうか?」。

いくつもの具体的な事例が俎上に載せられる。中でもお馴染み米ゼネラル・エレクトリック(GE)の前最高経営責任者(CEO)ジャック・ウェルチ氏と、小売業の王者米ウォルマート・ストアーズのケーススタディーが興味深い。ウェルチ氏はCEO在任中にGEの株価を極限に高めたが、金融事業への傾斜を強める一方、研究開発(R&D)支出を削り過ぎて会社の存在意義を曖昧にし、長期的価値を失わせてしまった。またウォルマートは、進出した地域をことごとく荒廃させてきた。やることなすこと裁判ざたになって、同社に対する訴訟は2万5000件を数えているという。

もちろん、だからといって従来のいわゆる日本的経営が優れているということにはならない。要は程度問題だ。著者の住む米国では行き過ぎが誰の目にもあらわになって、既に株主優遇に代わる価値を求める模索が始まった。10年遅れの日本ではその悲惨な未来を想像する力が乏しいため、依然として構造改革にバラ色を夢見る人々が多数派を占め続けている。

行き着くところまで行ってしまったがゆえの反省ではあるにせよ、著者の指摘は鋭い。株主はじめ関係者すべての長期的価値の最大化こそ企業の目的にもかかわらず、短期的利益しか考えられず企業を破滅に導く。一方で一生かかっても使い切れないだけの報酬を要求する経営者とは何なのか。

「そもそも最初からそんな人物を雇わない方が、会社にとっても世の中にとっても良いことなのである」。日本はまだしも、彼らの悲劇に学ぶことのできる立場にあるはずなのだが。



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